2004年04月11日
[密着衣の呪術 2]
密着衣の呪術 その2 「タイツと肉面」
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■「ジョジョの奇妙な冒険」の超初期エピソード。
呪いの面をふと顔にかぶってみた登場人物の顔面に、
面から生えてきた何本もの骨針が頭部に突き刺さり、
面と一体化してしまう。
この取れない面というモチーフは、
なぜか古くから人の心を揺さぶるようで、
伝承や能の題材として、この種の肉面の話はしばしば見受けられる。
面は怪しい。
顔にぴったりと合った面をつけると、それだけで胸がざわざわと騒ぐ。
敏感な顔面の皮膚が面の内側と微妙に摩擦することによって生まれる違和感と
面をつけることによって、人格までかかわったように感じる自己肥大感。
世界各地で面は呪術師たちの重要な小道具だ。
アフリカ、東西アジア、南北アメリカ、そして日本。
神をその身に憑依させるシャーマニズムにおいて、
精神を拡大させる錯覚を催す面は、人を脅す以前に
自分をおかしくさせるために必要なアイテムであったと思われる。
顔に物をつけることは、呼吸を妨げる、視界を妨げるといった理由で
自らの肉体を死に近づける意味がある。
死に至る快感。
あまりおおっぴらに語られることのない事件だが、1960年代末、
全国でポリエチレン袋をかぶって窒息死する子供が続出した。
私もかぶった。
制服の半ズボンとタイツ姿でビニール袋をかぶったときに感じた
めまいと異様な興奮。思わず脱ぐことを忘れてしまうそうな不思議さ。
顔面をやわらかく締め上げるビニール袋のいましめ。
すぐ耳元にひびく自分の呼吸音。
そして息を吸おうと肺を膨らましたとき、口にぴったりはりつく無慈悲な膜。
脱ぐことに失敗して呼吸を奪われた子供たちはそのとき、
シャーマンの悦楽を一瞬見てしまったのではないか。
肉面とポリエチレン袋とそしてタイツと。
顔に感じる摩擦の快感、脚を包むタイツのナイロンが皮膚に与える摩擦の快感。
そしてそれが全身に広がって、その第二の外皮のうちに包まれる窒息感と拘束感。
その快感をトロワ=フレールの獣装の呪術師はすでに知っていたのだと思う。