2004年05月22日
[黒タイツ三十六景]
黒タイツ三十六景 其之五 「スカートの 中に手を入れ タイツをぐいっと」
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■タイツは生まれたときから肌に密着しているものではないので、
タイツ女性は家でタイツをぐいっとはき上げる。
どんな人でもタイツをはくときは、ちょっと人に見せられない格好で、
ぐいっとタイツをはき上げ、がに股の恥ずかしい姿でタイツをはく。
例外としてはタイツを座ったまま、テンションを保ってタイツをはく方法を
教える女子高があって、そこの生徒はがに股にならずにタイツをはける。
さらにタイツは自然とずり下がることはあっても、
勝手にタイツのほうからずり上がってくれることはない。
で、この写真のようにタイツをたくし上げた後にスカートの上から手を入れて、
タイツのウエストゴムをぐいっと引き上げてフィニッシュ!
ああ、眼福、眼福。
(撮影/nawon_tyo氏)
2004年05月11日
[黒タイツ三十六景]
黒タイツ三十六景 其之四 「タイツとローファー。」
年があらたまるのを好み、社殿を新築するのを好み、
時が移って新しい季節になることを好む。
うまくしたもので、四季のあるこの国では、季節があらたまると、
一つ前に古い季節のことがひどく昔のように感じられ、いま生きている季節との連続感が希薄だ。
つまり、黒タイツはどこへ行ったのか。
携帯電話の売り場のスツールに腰掛けて、かかとが潰れたローファーを
つま先に引っ掛けて、ぶらぶらさせているタイツ少女。
夏場にはくソックスと冬にはくタイツでは、ソックスのほうが厚く、
タイツ足ではいたローファーは夏に比べてぶかぶかだ。
だから冬の朝、駅へ急ぐスクールタイツ少女の足元を見ていると、
タイツに包まれたかかとがすぽすぽと抜ける。
肉色が黒いタイツ地に透けるかかとは、ひざと並んでなぜか心をかき乱す。
パンティストッキングを常用する大人の女性は、
女子高生のようにソックスをはかないので、冬のタイツ着用時には
夏のパンプスより少し大きい「タイツ靴」を着用する。
写真の彼女のタイツ靴はいまの季節、どう過ごしているだろうか。
(撮影/solid師)
2004年03月26日
[黒タイツ三十六景]
黒タイツ三十六景 其之四 「黒タイツの下の包帯。」
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■なぜか女性には脚に包帯を巻いている人が多い。
この少女たち。
私の住む町にあるクラシックで清楚な校風で知られる女子高の生徒さん。
昨今のタイツアレルギーの流行のあおりを受けて、
最近ではとんと黒タイツの制服姿を見なくなっていた。
春休みであるはずのこの日。
二人は制服姿で登校して、帰りに仲良く本屋の店頭で
少女マンガ雑誌の読み比べ。
手が冷たい、と言ったのだろうか。
右の子が、自分のしていた白い手袋の左側をはずし、
タイツをはいた左の子に手渡した。
タイツの少女はその手袋を左手にはめ、いとおしそうにそれに頬ずりした。
あたたかい
そうお?
いいにおいがするよ
そうかなあ
うん、いいにおいがする
幸福そうな二人。
なぜ包帯をして黒タイツまではいているのか、
その理由は二人だけの秘密。
2004年03月21日
[黒タイツ三十六景]
黒タイツ三十六景 其之参 「タイツ婦人の春。」
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■彼女はひとりだった。
ゆっくりした足取りで書棚の間の通路をめぐり、
新刊のハードカバーが平積みで展示されている一角で足を止めた。
手に取った本は、「夜回り先生」。
そういえばあなたからはどこか教育関係者の香りがする。
折からの春の陽気のせいか、彼女はコートもマフラーも着けていない。
もしくは自宅がすぐそばなので、薄着で散歩を楽しんでいるのか。
バッグのアクセサリーは、生徒からのプレゼントですか?
それでも彼女の美しい脚には見事な黒タイツ。
年のころは50前後、それなのに若いころはさぞや、と思わせるい顔立ちと、
地味なつくりながら品のいい着こなしで、私の視線を釘付けにする。
さすがお姉さま、若いころからストッキングやタイツをずっとはいてきただけあって、
この黒タイツのはきこなしは見事なもの。
スカートの丈が少し短めに思えるのも、
お姉さまのかすかな自信の表れでしょうか。
2004年03月18日
[黒タイツ三十六景]
黒タイツ三十六景 其の弐 「タイツに鼻緒。」
クラシックな着物に袴、そしていなせな色の鼻緒の草履が
ユニフォームなのだが、いかんせん袴が短い。
で、気温が下がる冬季にはご覧のとおり黒タイツを着用。
足の指を覆い隠すようにして滑らかなラインを描くはずのタイツ爪先に
無理やり草履に鼻緒をくいこませ、タイツがもはや足袋状態。
その違和感はまるで植芝理一の「夢使い」の主人公のようだ。
仕事が終わって彼女たちが脱いだタイツの爪先は
一体どんなことになっているのだろうか?
(黒井太一氏)